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エデン  サヴァイヴ
細々と書き溜めていた書評を、忘れないうちに記事にしておきます。


『エデン』 近藤史恵 ★★★★★



あれから三年―。白石誓は唯一の日本人選手として世界最高峰の舞台、ツール・ド・フランスに挑む。しかし、スポンサー獲得をめぐる駆け引きで監督と対立。競合チームの若きエースにまつわる黒い噂には動揺を隠せない。そして、友情が新たな惨劇を招く…。
目指すゴールは「楽園」なのか?前作『サクリファイス』を上回る興奮と感動、熱い想いが疾走する3000kmの人間ドラマ。
(「BOOK」データベースより)









『サクリファイス』シリーズ第2作。舞台はフランスへ。

前作を読んでいれば、大体展開の予想はつく。
前作と比べるとドラマチックさでは劣るし、感動のヤマがないという人もいる。
けれど、私はこちらの方が好きだ。
前作の読後に残った不条理感やモヤモヤもなかった。



誰もが、清廉潔白ではないけれど、弱さも含めて人として感情移入できる。
私にとってこのシリーズの一番の魅力は、ミステリーとしての展開ではなく、繊細な心理描写、情景描写。
だからこそ、ストーリーに大きな山がなくても良いし、むしろそうであるが故に、著者の読者を引きこむ力がいかんなく発揮されているとすら思う。

今回の登場人物の中で特に興味深かったのが、ニコラだ。
あどけなく、人懐っこくて、どこか掴みどころのない、けれど人を強烈に惹きつける魅力をもった若者。
作品を読んでいくうちに、白石のように、自分もニコラに惹かれていくのを感じた。
どこに、という決め手がある訳ではないし、はっきりと書かれている訳でもない。
こんなにシンプルでさらっとした文章なのに、本当に作者の力量のなせる業だと思う。






『サヴァイヴ』 近藤史恵 ★★★☆☆



団体戦略が勝敗を決する自転車ロードレースにおいて、協調性ゼロの天才ルーキー石尾。ベテラン赤城は彼の才能に嫉妬しながらも、一度は諦めたヨーロッパ進出の夢を彼に託した。その時、石尾が漕ぎ出した前代未聞の戦略とは―(「プロトンの中の孤独」)。
エースの孤独、アシストの犠牲、ドーピングと故障への恐怖。
『サクリファイス』シリーズに秘められた感涙必至の全六編。
(「BOOK」データベースより)







シリーズ3作目は短編集。

作品としては悪くはないのだが、私はやっぱり白石が中心の話が好きらしいので、☆3。
伊庭視点の「スピードの果て」、白石の繊細で優しい心が見える「トラウーダ」は良かった。









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瓶詰の地獄
『瓶詰の地獄』 夢野久作 ★★★★★



極楽鳥が舞い、ヤシやパイナップルが生い繁る南国の離れ小島に、海難事故にあった幼い兄妹が流れ着いた。愛しい両親の助けを待ちながら、聖書に祈りを捧げ二人で力を合わせて生き続ける。しかしともに成長していく中で、二人の関係は変わっていく。彼らが海に流した三つの瓶には、その恐ろしい“地獄模様”が綴られていた・・・・・・(「瓶詰の地獄」)。
読者を幻魔境へと誘う夢野久作の世界。
「死後の恋」など表題作他六篇を収録。
(背表紙より)









妖しい魅力を感じるタイトルに、何より「発見!角川文庫の夏」フェア、略してカドフェスのポップなブックカバーに騙され?て、予備知識なしで買ってしまい、途中で後悔した本。
しかし、読み進めていくうちに、夢野久作の魅力にすっかり引きこまれてしまった。

想像すると陰鬱な気分になるほどのグロ描写に、人間の底なしの暗部を覗きこむようなヒヤリとした感覚を覚えるストーリー、「トテモ」「サア」などカタカナを多用した独特の文体、そして狂気にみちた、夢野ワールド。
こういう作品を、今まで読んだことはなかった。
もしこういう作品だと事前に知っていたら、読まなかっただろう。
そう考えると、予備知識なしで手に取ることができてよかった。



表題作、「瓶詰の地獄」は、瓶詰されて流れ着いた3通の手紙の内容を並べただけのものであるが、内容について様々な解釈ができる。
わずか十数ページで、これだけの劇的な展開と、心理描写と、謎に満ちた作品が、他にあるだろうか。
冒頭のこの表題作で、あっという間に夢野ワールドに引きこまれた。

しかし、3作目の「死後の恋」のあまりに生々しい描写に、引きこまれた心を凄い力で叩かれた。
そのくらいの衝撃だった。読み進めたことを後悔したほどだ。
それでも読むのをやめられない魔力のようなものが、夢野作品には宿っている。
その他の作品ももれなく強烈でお腹一杯状態だったが、この作品は別格だった。



☆を5にすべきか4にすべきか迷ったが、受けた衝撃では間違いなく5なので、5とした。
こういうジャンルの本を好んで読もうとは全く思わないが、夢野作品は、目を背けたくなるのになぜか読んでみたいと思わせる中毒性がある。

「夢野久作」というHNも、夢想家、夢ばかり見る変人という意味を持つ「夢の久作」からきているというのも、なるほど頷ける。

私にとって新しい世界を拓いた1冊。









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かもめのジョナサン
『かもめのジョナサン』 リチャード・バック ★☆☆☆☆


(※いつも上のタイプのリンクを利用していますが、過去記事も含め、上手く表示されないことがあるようです。初めての現象なので様子見。画像のみの方は私のPC上では正常に表示されるので、こちらも貼っておきます。)


重要なのは食べることではなくて、飛ぶことだ。いかに速く飛ぶかということだ――
飛ぶことの歓びを味わうために、自由と愛することの真の意味を知るために、光り輝く蒼穹の果てまで飛んでいく一羽のかもめジョナサン・リヴィングストン。
群れを追放された異端のジョナサンは、強い意志と静かな勇気をもって、今日もスピードの限界に挑戦する。
夢と幻想のあふれる現代の寓話。
(背表紙より)









寓話もの。

感想は、一言で言うと、モヤモヤ。
言いたいことはわかるが、素直に受けとめられないというか、引っかかるというか…。
子どもだったら違ったのかも知れないけれど。



訳者の五木さんの解説は、すべてにおいて的確であった。

「そんな大したカモメに、ただただ感心して、ひとつおれも食うことにあくせくするのは今日限りでよして、生きることの本当の意味を探る旅へ出発しよう、などと素直に反応するほど現代の私たちは単純ではない。」

私が感じた引っかかりも、まさにこの部分である。
その他にも、この小説がもつアメリカ的部分であったり、前半から後半に話が進むにしたがって増す、高いところから見下ろすような感じとか、カモメの「純白の」描写とか、
私が感覚的に引っかかった部分を、五木氏はことごとく的確に指摘していた。

五木氏の解説を読んでからも考えてみたが、やっぱりこの小説の魅力はまだわからない。








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なんとなく一言
管理人

映(えい)

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    ラーメンを食べながら、時々本を読む社会人。
    心を揺さぶる本、価値観を変えてくれる本、爽やかさとともに苦さや切なさを感じさせる本、表現が美しい本、静かな感動を起こしてくれる本、心の奥深くに沁みる本、重さの中にも透徹した雰囲気を持つ本、知的好奇心をくすぐってくれる本、が好きです。


    おもしろそうなのがあったので始めてみた→コトノハ



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