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あのころはフリードリヒがいた
『あのころはフリードリヒがいた』 ハンス・ペーター・リヒター ★★★★☆



ヒトラー政権下のドイツ、人々は徐々に反ユダヤの嵐にまきこまれていった、子どもたちさえも…
その時代に生き、そして死んでいったユダヤ少年フリードリヒの悲劇の日々を克明に描く。
(岩波書店HPより)









仲の良かった(不穏な空気は序盤から少しずつ感じられたが)2つの家族、そして主人公とユダヤ人の友人「フリードリヒ」が、ナチスドイツ政権下で時代に翻弄されて引き裂かれ、フリードリヒが悲しい運命をたどるまでが描かれている。
あの頃、ごく普通の市民たちが「洗脳された」かのようなイメージをずっと持っていたけれど、そうではなく、主人公一家のように、自分の家族とユダヤ人の友人たちの命を天秤に掛けなければならない極限の状況の中で、心を失わず、懸命に踏みとどまろうとした人たちも確かにいたのだという、ごく当たり前のことに気づくことができた。

作品は、主人公「ぼく」の目線で淡々と語られていく。
「ぼく」の目を通して、私たち読者は当時のドイツの様子を垣間見ることができる。
また、ユダヤ人の習慣やユダヤ教の儀式のようすも細かく描かれており、「ぼく」と同じように興味深く読み進めた。

何も知らずに「カッコいい」からと、ドイツ少年団に参加する主人公とフリードリヒ、映画館での葛藤、ユダヤ人であるフリードリヒを受け入れてくれた少女とのベンチでのひと時、そしてフリードリヒの最期…
心に残った場面をいくつか挙げるときりがないが、
フリードリヒが学校を去ることになった時のノイドルフ先生の言葉と、「ぼく」があまりにも自然に暴動を「する側」に回ってしまった場面(多くの人が、このように狂気の渦に巻き込まれていったのだろう)の2つが最も印象的だった。






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本を読むことが、読書なのではありません。自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所をつくりだすのが、読書です。(長田 弘)






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tag : 岩波 あのころはフリードリヒがいた ハンス・ペーター・リヒター

変身
『変身』 フランツ・カフカ ★★★☆☆



カフカの数多くの風変わりな作品の中でも、わけても奇妙なもののひとつ。
とりわけ奇妙なのは、主人公が自分の突然の変身を、いささかも不思議に思わないことだ。
なぜ虫に変身したのか、作者は何ひとつ説明しない。
ひたすら冷静に、虫になった男とその家族の日常を描いていく。
(裏表紙より)


(今まで、なぜか「背」表紙と書いていました。。。細すぎるだろ;)







(注:ネタバレ有)

ある朝、目覚めると男は虫になっていた…
あまりにも有名な作品であるが、今まで読んだことはなかった。

読んでみると、思っていた話とはだいぶ違っていた。
最初に驚いたのは、主人公が姿を変えてしまった「虫」が、とても醜悪な姿であること。
こげ茶色の体に、無数の「ワヤワヤしている」脚、白い斑点。
腐りかけた食べ物を好んで食べ、床を這いずり回り、ネバネバした足跡をつける。
それだけで読むのをやめてしまいたくなるほどだったが、結末が気になって何とか読み進めた。

最初は、いわゆる夢オチにでもなるのだろうと思っていたが、主人公が一向に人間に戻る気配のないまま月日は流れ、ついに死んでしまった。
呆気にとられてしまったが、恐ろしいのはその後である。
一家の大黒柱だったはずのグレーゴルを失った家族は、ほんの少しの切なさと、それ以上の希望を抱いて、新しい生活へと思いをはせるのだ。

一人の人間がその姿を変えてしまっただけで、こんなにも周囲の人間は残酷になれるのか。
巻末の解説にも書かれている通り、これは単なるSFではない。
人間が虫になることはなくても、人間が虫のような扱いを受ける状況はいくらでもあり得る。
引きこもりの息子、無職の父、認知症の母…「虫男」はたくさんいる。

好き嫌いで語ることができる作品ではない。
言うまでもなく、読後感は非常に悪い。










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tag : 新潮 カフカ 変身

トリツカレ男
『トリツカレ男』 いしい しんじ ★★☆☆☆



ジュゼッペのあだ名は「トリツカレ男」。何かに夢中になると、寝ても覚めてもそればかり。オペラ、三段跳び、サングラス集め、潮干狩り、刺繍、ハツカネズミetc.
そんな彼が、寒い国からやってきた風船売りに恋をした。
無口な少女の名は「ペチカ」。
悲しみに凍りついた彼女の心を、ジュゼッペは、もてる技のすべてを使ってあたためようとするのだが……。
まぶしくピュアなラブストーリー。
(背表紙より)









レビューの評価が高く、新潮の「高校生に読んでほしい50冊」に入っていたこともあり、学級文庫用に購入した。

結論から言うと、私には合わなかった。
話自体が良くなかったわけではない。
合わなかったというより、この作品に純粋に感動できない自分が「すれて」しまっただけなのか。




(注:ネタバレ有)



読んでいて一番引っかかってしまったのは、ジュセッペがタタン先生の真似をするところ。
最後には、そこまで自分のためにしてくれている、という彼の行動がペチカの胸を打ったわけだが、
ジュゼッペが「最終的に」ペチカのために選んだことが、彼自身の特技や人柄ではなく、背格好や人格まで似てしまうほどの「真似」であったというのが、どうしても引っかかってしまった。
もちろん、ペチカはその前から実はジュゼッペに惹かれていた、というオチなのだが、このエピソードを「最後に」もってきたのが、どうしても…上手く説明できないが、納得がいかなかったというか、素直によかったね、と思えなかった最大の理由だ。

それと、ジュゼッペが今までトリツカレてきたことが思わぬ形で役に立つ―というエピソードも、なんだかこじつけた感が否めなかった。



逆に、個人的に心に残ったのは、(本物の)タタン先生の行動。
自分が教師だからこそなのだが、タタン先生と同じ状況に置かれたら、自分はタタン先生のように行動できるだろうか、と考えさせられた。

それから、ハツカネズミとツイスト親分はいい味出してました。



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最近、読書がさくさくとできるようになってきました。
やはり慣れは大事ですね。

とはいえ、この読書記録はタイムリーではなく、実際には、読んだ後にちまちまとメモをためておいて、気が向いたときに投稿しています。
専ら読書ブログになりそうな勢いですが、食べ物ネタもあります。(まだ記事になるほど膨らんでいないので、温め中です)
その他にも、旅に出たり、趣味の美術館巡りをしたり、忙しいなりに充実しています。
記事にする体力がなく風化してしまったネタも多々ありますが、そのうち読書・ラーメン以外のカテも復活したいと思います。
写真もそこそこ撮っているので、写真ブログの更新も今年度中にルーチンワークにしたいなぁ。

レビューもまだ数冊分ストックがあるので、「1か月間~」広告が出そうになったら投稿しようと思います(笑)
備忘録なのであまり読みやすいとは言えない読書記事ですが、ちょこちょこ拍手を頂けるようになり、とても嬉しいです。
ありがとうございます!







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tag : トリツカレ男 いしいしんじ 新潮

夜市
『夜市』 恒川 光太郎 ★★★★☆



妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは望むものが何でも手に入る。
小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。野球部のヒーローとして成長した裕司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。そして今夜、弟を買い戻すため、裕司は再び夜市を訪れた―。
奇跡的な美しさに満ちた感動のエンディング!魂を揺さぶる、日本ホラー小説大賞受賞作。
(背表紙より)









冒頭から、「学校蝙蝠」なるものが登場し。
「ホラー大賞」なのに、いやに漫画的で、少々面食らった。

ファンタジーは嫌いではないが、メルヘンチックなものは苦手だ。
不安を感じながら読み始めたが、裕司たちが「夜市」に足を踏み入れた時には、私もいつの間にか、同じように「夜市」に心を奪われていた。



設定としてはあり得ないほどファンタジーで、一歩間違えるとメルヘンになったり、妙に作り物くさくなったりしてしまいがちなのに、そういった抵抗感を全く感じさせず、あっという間に物語に引き込まれた。
ひんやりとした独特の雰囲気を感じる文章。
あっという間に読めてしまうほどさらっとしているのに、軽くない。絶妙な「密度」をもっている。

私が小説を読む時にどうしても気になる登場人物の言葉づかいも、文語的すぎず、かといって携帯小説かなにかのように俗っぽすぎることもなく、絶妙な按配だった。
ここまで会話文に抵抗を感じない作品はあまりない。

内容も、ありがちな西洋的(あるいは無国籍?の)洋風ダークファンタジーではなく、日本的な(日本であるとは言えない)世界観で、それもまたよかった。
(適切かどうかはわからないが、漫画「HoLiC」の世界観と似ている気がした)
この作者の作品は初めてだったが、もっと読みたいと思わされた。



☆-1の理由。

「夜市」の結末が、え、ここで終わり?という終わり方だったからだ。
これは作者のせいではなく、背表紙の紹介文のせいだと思う。
「奇跡的な美しさに満ちた感動のエンディング!魂を揺さぶる、…」とあったので、もっとドラマティックな終わり方を想像してしまったからだ。内容と合っていないように感じられた。
この作品の結末は、もっと静謐な切なさをもったもののように思うが、どうだろうか。
もちろん、話としてはこの終わり方以外にないのかなとも思うが、紹介文を先に読んでしまっていたがために、想像していたものとあまりに違う終わり方で、戸惑ってしまった。

それから、これも裏表紙の紹介文から収録作品が「夜市」だけだと思い込んでいた(ネット購入のため、目次がわからなかった)ためだ。「表題作」という一言があれば、と思う。
(ちなみに、「風の古道」は、作品自体は私にとっては「夜市」以上に魅力的だった。誤解があるといけないので念のため。)

また、紹介文を読むと裕司が主人公であるかのように思えるが、実際には(彼は話の中心ではあるが)途中までいずみの一人称で話が進む。
このあたりも引っかかった理由の一つだ。(しかも、彼らが登場するのは「夜市」のみ。ますます紹介文が不適切ではないか。)

内容面ではなく些細なことだが、読者は作品に入る前に紹介文を読んでイメージをある程度形にするのだから、紹介文は適切でなければならないと思う。









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なんとなく一言
管理人

映(えい)

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    ラーメンを食べながら、時々本を読む社会人。
    心を揺さぶる本、価値観を変えてくれる本、爽やかさとともに苦さや切なさを感じさせる本、表現が美しい本、静かな感動を起こしてくれる本、心の奥深くに沁みる本、重さの中にも透徹した雰囲気を持つ本、知的好奇心をくすぐってくれる本、が好きです。


    おもしろそうなのがあったので始めてみた→コトノハ



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