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悲しみよ こんにちは
『悲しみよ こんにちは』 サガン 著 (朝吹登水子 訳) ★★★★☆



若く美貌の父親の再婚を父の愛人と自分の恋人を使って妨害し、
聡明で魅力的な相手の女性を死に追いやるセシル・・・・・・。
太陽がきらめく、美しい南仏の海岸を舞台に、青春期特有の残酷さをもつ少女の感傷にみちた好奇心、愛情の独占欲、完璧なものへの反撥などの微妙な心理を描く。
発売と同時に全世界でベストセラーとなり、文壇に輝かしいデビューを飾ったサガンの処女作である。
(背表紙より)









思春期の少女の心の繊細さと残酷さを鮮やかに描いた作品。
驚くべきは、この作品がサガンの処女作で、しかも彼女が18歳の時の作品だということ。
主人公のセシルの一人称で話が進んでいくため、セシルの心理描写の見事さについ目が向いてしまうが、
まだ人生経験の浅いサガンが、父のレエモンやその恋人のアンヌなど、自分よりもずっと大人の人物を言動だけで描写しきったことこそ、彼女が天才たる所以ではないかと思う。

前半は、平穏な日常が続いて、ページをめくる手がやや進まない時もあったが(もちろん、この前半があってこその後半なのだが)
後半はだんだん登場人物たちの関係が変化していき、劇的なクライマックスへとなだれ込む。
「人間」のアンヌと向き合ってしまった瞬間のセシルの受けた衝撃と動揺は、読んでいる私にもダイレクトに伝わってきて、この部分の描写には鳥肌が立った。

私は基本的に翻訳ものは滅多に読まない。
日本語の言い回しが好きだということもあり、翻訳もの独特の言い回しが苦手だということもある。
けれど、この作品はほとんど抵抗を感じずに読めたし、逆に、所々感心するところさえあった。
朝吹さんの訳が本当に良かったのだと思う。

それにしても、小説の結びの言葉でもあり、タイトルでもあるこの「悲しみよ こんにちは」という訳は、
誰が最初に訳出したのかはわからないが、本当に秀逸だ。

この手のジャンルの作品はあまり好きではないのだけれど、それでも引きこまれた。
分量も少なく、内容もドラマティックなので、読書初心者にも読みやすい本だと思う。










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tag : 新潮 悲しみよこんにちは サガン 朝吹登水子

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映(えい)

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