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瓶詰の地獄
『瓶詰の地獄』 夢野久作 ★★★★★



極楽鳥が舞い、ヤシやパイナップルが生い繁る南国の離れ小島に、海難事故にあった幼い兄妹が流れ着いた。愛しい両親の助けを待ちながら、聖書に祈りを捧げ二人で力を合わせて生き続ける。しかしともに成長していく中で、二人の関係は変わっていく。彼らが海に流した三つの瓶には、その恐ろしい“地獄模様”が綴られていた・・・・・・(「瓶詰の地獄」)。
読者を幻魔境へと誘う夢野久作の世界。
「死後の恋」など表題作他六篇を収録。
(背表紙より)









妖しい魅力を感じるタイトルに、何より「発見!角川文庫の夏」フェア、略してカドフェスのポップなブックカバーに騙され?て、予備知識なしで買ってしまい、途中で後悔した本。
しかし、読み進めていくうちに、夢野久作の魅力にすっかり引きこまれてしまった。

想像すると陰鬱な気分になるほどのグロ描写に、人間の底なしの暗部を覗きこむようなヒヤリとした感覚を覚えるストーリー、「トテモ」「サア」などカタカナを多用した独特の文体、そして狂気にみちた、夢野ワールド。
こういう作品を、今まで読んだことはなかった。
もしこういう作品だと事前に知っていたら、読まなかっただろう。
そう考えると、予備知識なしで手に取ることができてよかった。



表題作、「瓶詰の地獄」は、瓶詰されて流れ着いた3通の手紙の内容を並べただけのものであるが、内容について様々な解釈ができる。
わずか十数ページで、これだけの劇的な展開と、心理描写と、謎に満ちた作品が、他にあるだろうか。
冒頭のこの表題作で、あっという間に夢野ワールドに引きこまれた。

しかし、3作目の「死後の恋」のあまりに生々しい描写に、引きこまれた心を凄い力で叩かれた。
そのくらいの衝撃だった。読み進めたことを後悔したほどだ。
それでも読むのをやめられない魔力のようなものが、夢野作品には宿っている。
その他の作品ももれなく強烈でお腹一杯状態だったが、この作品は別格だった。



☆を5にすべきか4にすべきか迷ったが、受けた衝撃では間違いなく5なので、5とした。
こういうジャンルの本を好んで読もうとは全く思わないが、夢野作品は、目を背けたくなるのになぜか読んでみたいと思わせる中毒性がある。

「夢野久作」というHNも、夢想家、夢ばかり見る変人という意味を持つ「夢の久作」からきているというのも、なるほど頷ける。

私にとって新しい世界を拓いた1冊。









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tag : 角川 夢野久作 瓶詰の地獄

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