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さがしもの
『さがしもの』 角田 光代 ★★★☆☆



「その本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」、病床のおばあちゃんに頼まれた一冊を求め奔走した少女の日を描く「さがしもの」。初めて売った古本と思わぬ再会を果たす「旅する本」。持ち主不明の詩集に挟まれた別れの言葉「手紙」など九つの本の物語。
無限に広がる書物の宇宙で偶然出会ったことばの魔法はあなたの人生も動かし始める。『この本が、世界に存在することに』改題。
(裏表紙より)







十人十色の「本との関係」を描いた、短編集。
読みながら、自分と本との関係について考えた。



小さい頃は、親によく本を読まされた。絵本や童話(日本のものはほとんどなかったように思う)、日本の神話、そして母が好きだった宮沢賢治。
中学生のころは、学校の図書館で純文学を時々読んでいた。きっかけは、大抵国語の教科書だったので、芥川龍之介を読んだものの、あまり理解しきれなかったのを、印象深く覚えている。

高校、大学と進むにつれ、本から遠ざかった。(正確には、雑誌にハマっていた時期だったので、遠ざかったのは「文学から」であるが。)写真や散歩、美術館巡りなど、外で楽しむものに目が向いていた時期だった。初めて交際した人のメールに田山花袋の『蒲団』が出てきて、どんな話だろうとあらすじだけ読んで、なんだ、変態小説か、などと失礼なことを思った記憶がある。

大学院に行って、もう一度読書をしてみようと思い始めた。実家を出て一人暮らしを始め、自分と向き合う日々が続いたからだろうか。都会から離れた場所にあったため、娯楽がほとんどなかったせいもあるかも知れない。しかし、その時には本から長いあいだ遠ざかっていたせいで、活字を読むのに難儀した。雑誌のように写真がメインで文章がおまけの様なものならよいが、文学はそうもいかない。一向に進まないばかりでなく、一度読んだだけでは内容が頭に入らず、前のページに戻ることも何度もあった。そのせいで、途中で読むのを投げてしまったことも多かった。
そして社会人になった今、ようやく「読むペース」を取り戻しつつある。
不思議なもので、ブログの更新頻度も読書量とある程度比例している。読めないことと書けないことは、表裏一体なのだと思う。

なんだかレビューから脱線しまったような気もするが、あとがきを読むと、作品を読みながらこうして自分の本との「交際履歴」を思い返したということ自体が、まさに作者の思う壺なのではないかと、ふと思った。



私は、読むことで自分の心や価値観を揺さぶられるような作品が好きだし、読書にそういうものを求めている。
疑似恋愛にときめいたり、こころがほっこりしたり、単に面白おかしかったり、スリルがあったり、というのは、実のところ全く求めていない。
芥川賞を受賞した又吉さんの作品『火花』について、選考委員の一人が、彼の作品は確かに粗削りだし欠点もあるが、「どうしても書かねばならぬという強いもの」が感じられた、というようなコメントをしていたように記憶している。(詳細はうろ覚えですが)
私が求めているのもまさにそこで、作品に娯楽性よりもメッセージ性や、芸術性の方を求めるので、純文学の方がどちらかというと好きなのである。
作者の「魂」が感じられる作品が好きなのだ。

なので、こういう、何の変哲もない「普通の」人々と日々を描いた作品を読むと、読み終わった後に「・・・で、この人は何の為にこの作品を書いたのだろう」と、つい考えてしまう。
釈然としないまま読み進めていくと、時折、ポツ、ポツと心の琴線に引っかかる部分がある。
『手紙』で「やばい。女の文体が移ってしまった。(p54)」とうろたえる主人公につい吹き出してしまったり。
『ミツザワ書店』で、小学校の頃よく行った駄菓子屋さんの光景がふと頭に浮かんだり。
『初バレンタイン』で、こんなことあったよなぁと昔の恋愛を思い出したり。
読むにつれて、じわじわと心の中に沁みるものがある。
個人的には、表題作『さがしもの』が一番印象に残った。登場人物が自分の母や祖母と少し重なるところがあったせいかもしれない。

つまるところ、この作品は「何かを伝えたい」のではなく、こういう風に、自分自身の記憶とリンクして読んでもらうその時間そのものが目的なのかな、と読み終わって思う次第である。






==============

同志よ、これは本ではない。これに触れるものは、人間に触れるのだから。(ウォルト・ホイットマン)






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tag : さがしもの 角田光代 新潮 読書

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映(えい)

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    ラーメンを食べながら、時々本を読む社会人。
    心を揺さぶる本、価値観を変えてくれる本、爽やかさとともに苦さや切なさを感じさせる本、表現が美しい本、静かな感動を起こしてくれる本、心の奥深くに沁みる本、重さの中にも透徹した雰囲気を持つ本、知的好奇心をくすぐってくれる本、が好きです。


    おもしろそうなのがあったので始めてみた→コトノハ



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